張徹にはめずらしいコメディもの。
金持ちボンの侠客(武器は黄金のパチンコ玉・・・ぶつけた相手はすかさず拾う)である姜大衛を反体制者として捕らえ、彼の財産を没収しようと画策するモンゴル人一味(手下は郭追と山茅)と、姜大衛に加勢する、ちんぴら兄ちゃん3人組(傅聲・戚冠軍・李藝民)の、いうなれば浪漫暴力悲劇ならぬ、脱力暴力喜劇。
いんちき占い師を生業とする傅聲が、白いデカ扇を持っているのは方世玉のパロディかしら。
戚冠軍は、「無口なジャイアン」といった感じの役どころ。『The ways of kung fu』を見て、「この人にはコメディ合わないかも・・・」と思っていたのですが、無口・無表情だけど可笑しみのあるこの役は合ってました。台詞が非常に少ないせいか、うどん・鶏肉・焼き芋と食べてばっかりだ。ただ残念ながら髪型がいまひとつ(この人額は出したほうが)。
しょっちゅう宙返りばっかりやってる、忍者みたいな役の李藝民さんについては、そういえば『少林寺』に出ていた気がする(確か)くらいしか知らないのですが、この身軽さからすると、京劇出身だったりするんでしょうか(けっこうかわいい)。
敵役のモンゴル人一味がかなりマンガチックで笑える。
ボス役は、実は貧相なんだけどかぶりもので誤魔化している、ジャンボマックス(古)みたいなおっさん。手下の郭追と山茅のふたりは、毎度姜大衛たちにやられてはボスにドヤされる、まるで往年のタイムボカン(古)の悪役のような役どころ。ちっこい目にエラの張った郭追さんがなんかかわいい。
特筆すべきは、張徹映画のくせにこの映画は人も死なないし血も出てこない(あ、最後のほうに兵士が串刺しになるシーンはあるか)。
ストーリーもひたすらスラップスティックというか、たいそう軽いノリなので、「これほんとに張徹映画?」という感じです。こういう、コメディタッチの男の友情を描いてみたかったのかなあ。
が、なんだか殺陣のシーンが全体的に大味なような気がするのが残念。もうこの頃は劉家良はいなかったのかしら。で、『洪拳小子』は一体いつ出るのかな~ん?