80年代に活動していた劇団、東京グランギニョルの作品を漫画化したもの。
少年・秘密結社・ロボット・基地・少女・廃墟・制服・血・薔薇・・・とまあ、アングラ・耽美テイストなワクワク要素が満載なのですわ。
それにしてもライチって滅茶苦茶美味しい果物ですよね。
特筆すべきは登場する少年少女がとても美しく描かれていることです。「描き飛ばした」とか「勢いで描いちゃった」感じの全くしないよーな硬質で緻密な絵柄・黒の多い画面は、やはりどうしても丸尾末広(東京グランギニョルに参加していたそうで)を連想させます。
物語の最後、差し込む光を浴びながら水中を浮上していく少年たちの体と、少女の歌う賛美歌がオーバーラップするシーンはまことにスバラシーです(実際の舞台にはこの場面は果たしてあったのでしょうか)。
登場する少女は、同性から見るとちょっと非現実的なくらいに理想化されていますけれどもね。
アイラブタミヤ君。君こそ真の美少年だ。
しかし、こーゆー作品を読むと、東京グランギニョルなんかのアングラ文化全盛期だった80年代前半に青春を送ることができなかったとゆーことに対して、なんだか歯噛みしたくなるよーな悔しさを感じてしまうのですよ。
思春期にこの舞台を見て強い影響を受け、長い時間を経て本作を描くことができた作者の古屋兎丸さんは、大層幸福な漫画家さんだなーと思います。
また、現在古屋兎丸さんは少年十字軍を題材にした作品を連載されているそうですが、そちらも単行本が出るのが非常に楽しみです。